火星の岩に残された古代の浅い湖の波の跡 探査車キュリオシティが撮影 | アストロピクス

火星の岩に残された古代の浅い湖の波の跡 探査車キュリオシティが撮影

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティがとらえたものです。「マーカーバンドバレー」と呼ばれる場所で2022年12月16日(3684火星日)に撮影した137枚の画像を合成したもので、360度パノラマになっています。

画像中央右側にキュリオシティのロボットアームが見えています。その下に見える岩に、サンプル採取を試みた穴が空いています。ただ岩が硬すぎたため、このときはサンプル採取はできませんでした。

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乾燥していた時代とみられていた場所で意外な発見

こちらの画像は冒頭のパノラマの一部です。岩の表面に波打つようなテクスチャが見られます。これはかつて、浅い湖の波によって遠い昔に形成されたものです。

キュリオシティは2014年に火星のゲール・クレーターに着陸して以来、クレーター内にある高さ5kmのアイオリス山(シャープ山)の麓を登っています。冒頭のパノラマ画像の右上側に、アイオリス山の頂上が見えています。

アイオリス山はいくつもの層からなり、下の方ほど古く、頂上に近づくほど新しい地層になります。そのためキュリオシティは山を登るにつれて、火星がまだ温暖で豊富な水をたたえていたころから、今日の寒冷・乾燥した環境にどのように進化したのかをたどることができます。波のようなテクスチャが見つかったのは意外にも、すでにかなり乾燥した時代だと見られていた地域でした。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS

(参照)Mars Exploration Program