
この画像に映っているのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の探査車キュリオシティがとらえた火星の風景です。2025年3月9日(4476火星日)に撮影した画像をもとにパノラマ合成されました。
2012年に火星のゲール・クレーターに着陸したキュリオシティは、クレーター内にあるアイオリス山(通称シャープ山)の斜面を登りながら探査を続けてきました。
パノラマの左側には切り立った丘が見られ、その手前側には丸みを帯びた岩があります。その丸みを帯びた岩は、アイオリス山の硫酸塩含有ユニットの一部です。
右側に見えている丘(ビュート)は、「グールド・メサ(Gould Mesa)」という愛称が付けられています。その頂上付近に見られる断崖や暗い尾根は、「ボックスワーク」と呼ばれる岩石構造を探査車が初めてとらえたものかもしれません。
ボックスワークとは、遠い昔に巨大な岩盤の亀裂に水が流れ込んだ際、水に含まれていた鉱物が固まり、のちに周囲の岩石が侵食されて鉱物が固まった部分が箱状に残ったものです。火星のボックスワーク構造は、これまで周回機からのみ観測されていました。

こちらはパノラマ画像から、グールド・メサの暗い尾根と断崖の部分を切り抜いたものです。
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Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS
(参照)JPL