NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティの観測から、火星のゲール・クレーター内で約40億年前に発生した荒れ狂う大洪水を示すと考えられる波打つ地層が見つかりました。
ゲール・クレーターは、キュリオシティが着陸し移動しながら探査を行なっているクレーターです。キュリオシティの観測により、そのゲール・クレーターの堆積層に巨大な波状の地層が見つかったのです。それは「メガリップル」などと呼ばれるもので、高さは約9m、約137m間隔で並んでいます。少なくとも水深24mで、秒速10m以上の流速の洪水によって形成されたとみられています。
その洪水がどうして発生したのかについて、研究チームでは次のような可能性が高いと考えています。
大洪水は巨大な隕石衝突によって生み出された熱で氷が溶けたことが引き金となったとみられます。それにより凍っていた二酸化炭素やメタンが大気中に放出されました。水蒸気とガスの放出が組み合わさって温暖湿潤な環境を短期間、火星にもたらしました。
水蒸気は凝結して雲を形成し、おそらくは火星全球規模の豪雨を生み出しました。その水がゲール・クレーターに入り、クレーター内にあるシャープ山から降りてくる水と合流して巨大な鉄砲水を発生させたのです。