太陽系の果てから直径100km超の巨大彗星が太陽へ接近中 | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

太陽系の果てから直径100km超の巨大彗星が太陽へ接近中

太陽系の果てにあるオールトの雲からやってきたと見られる巨大な彗星C/2014 UN271(Bernardinelli-Bernstein彗星)が発見されました。この彗星は典型的な彗星の1000倍ほどの質量があるとみられ、また直径は100〜200kmと推定されています。

C/2014 UN271の想像図。Image Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva
C/2014 UN271の想像図。Image Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva

オールトの雲とは、太陽から数万天文単位(太陽〜地球間の距離の数万倍)のところで球殻状に小天体が取り囲んでいると考えられている領域です。長周期彗星はオールトの雲からやってくると考えられています。太陽系形成の初期に、巨大惑星によって微惑星が外側へと追いやられたことでオールトの雲が形成されたと見られています。

「JPL Small-Body Database Browser」によれば、C/2014 UN271の公転周期は約545万年、遠日点(太陽から最も遠ざかる点)は約6万2000天文単位となっています。2014年に初めて確認された時点で彗星は太陽から約29天文単位、2021年6月の時点では約20天文単位の距離に位置していました。29天文単位は海王星、20天文単位は天王星にほぼ相当する距離です。

惑星とC/2014 UN271の公転軌道と、2021年6月26日現在の位置。JPL Small-Body Database Browserより。
惑星とC/2014 UN271の公転軌道と、2021年6月26日現在の位置。JPL Small-Body Database Browserより。

彗星の公転軌道は太陽系の惑星の軌道面に対してほぼ垂直で、2031年に約11天文単位まで太陽に近づきます。11天文単位というと、太陽〜土星間の距離よりも少し長い距離に相当します。なお巨大な彗星ではありますが、近日点(太陽に最も近づく点)が太陽から遠いため、地上から肉眼で見られる彗星にはならないようです。

C/2014 UN271は、2013〜2019年にかけて行われた国際共同プロジェクト「ダークエネルギーサーベイ」のデータから発見されました。アメリカ、ペンシルバニア大学のPedro Bernardinelli氏とGary Bernstein氏が、南米チリ北部のセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡搭載のダークエネルギーカメラで収集されたデータを解析することで見つけ出したのです。

Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA/P. Bernardinelli & G. Bernstein (UPenn)/DESI Legacy Imaging Surveys、Acknowledgments: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab) & J. Miller (NSF’s NOIRLab)
Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA/P. Bernardinelli & G. Bernstein (UPenn)/DESI Legacy Imaging Surveys、Acknowledgments: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab) & J. Miller (NSF’s NOIRLab)

この画像は、ダークエネルギーカメラで2017年10月に撮影されたものです。25天文単位の距離にいたC/2014 UN271が映っています。

(注)記事中の彗星の軌道に関する情報は、今後の観測によって変わる可能性があります。

C/2014 UN271についての新情報については、2022年4月13日公開の以下の記事をご覧ください。→「観測史上最大! 太陽に接近中の巨大彗星核のサイズが求められた

(参照)NOIRLabJPL Small-Body Database Browser