ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた環状銀河AM 0644-741。とびうお座の方向、約3億光年の距離にあります。黄色い銀河中心のまわりで、青い星々の星団がリング状に輝いています。リングの直径は15万光年あり、私たちの住む天の川銀河よりも大きなサイズです。
環状銀河は、ある銀河が別の銀河の円盤に衝突して突き抜けることでできます。AM 0644-741に衝突した犯人は画像左上にみえている渦巻銀河と思われるかもしれませんが、そうではありません。この渦巻銀河は遠方にある銀河で、AM 0644-741とは相互作用もしておらず、たまたま近くにみえているだけです。AM 0644-741に衝突した銀河はこの画像の外にあって映っていません。
別の銀河が突き抜けることで、衝突された銀河内の星やガスの軌道が大きく変わり外側へと追いやられます。リングが外側に進んでいくとガス雲が衝突して圧縮され、やがて新しい星が大量に形成されます。青いリングは、そのようにしてできた若く高温の大質量星が存在している場所です。リング内でところどころに見られるピンク色の領域は、大質量星からの紫外線を受けて、水素ガスが電離して輝いています。
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ30周年(2020年4月24日)に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)は「30 Years, 30 Images」と題して、これまでハッブルが撮影してきた画像から各年1枚ずつ選んで公開しています。
冒頭の画像はその14枚目のもので、打ち上げ14周年を記念して2004年4月にリリースされました。
Image Credit: NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (AURA/STScI);
Acknowledgment: J. Higdon (Cornell U.) and I. Jordan (STScI)
https://www.flickr.com/photos/nasahubble/49576593371/in/album-72157713228021437/
https://hubblesite.org/contents/media/images/2004/15/1520-Image.html