超巨大ブラックホールの休眠が、銀河団に激しい星形成をもたらした!?

この画像は、おおぐま座の方向、99億光年の距離にある銀河団SpARCS104922.6+564032.5 (SpARCS1049)をとらえたものです。チャンドラX線望遠鏡のX線画像(明るい青)と、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光・赤外線画像(赤、緑、青)を重ね合わせた画像です。

銀河団には数百から数千に及ぶ銀河とともに、それらの銀河の総質量を上回る高温ガスが存在しX線を放っています。銀河団の中心にある超巨大ブラックホールから物質が放出されると、高温ガスが冷却されずに大規模な星形成は妨げられます。

SpARCS1049では、そのような超巨大ブラックホールがほぼ休眠状態にあることで活発な星形成が起きているようです。ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の観測から、SpARCS1049では太陽900個分の質量に相当する星が毎年生まれていることが知られていました。これは天の川銀河での星形成の300倍以上にもなります。激しい星形成は、SpARCS1049の中心から約8万光年離れたところで起きています。

チャンドラX線望遠鏡の観測によると、SpARCS1049の大部分では、ガスの温度は約6500万度に達しています。しかし星形成が活発な場所では、ガスは平均よりも高密度で、温度は約1000万度しかありません。この低温ガスの存在は、検出されていないガスがさらに低い温度まで冷え、膨大な数の星形成が可能であることを示唆しています。

こちらは、チャンドラX線望遠鏡で観測された最も高密度の高温ガスと、銀河団の中心にある銀河の位置を示したものです。最も低温のガスがあり激しい星形成が起きている場所は、最も高密度のガスと中心の銀河の中間にあります。

SpARCS1049では、ガスの高密度な領域と中心の銀河とがずれていることによりブラックホールの燃料が少なく、ブラックホールがおとなしくなっているとみられています。過去に2つの小さな銀河団が合体してSpARCS1049ができ、最も高密度のガスが中心からずれてしまった可能性が考えられています。

Image Credit: X-ray: NASA/CXO/Univ. of Montreal/J. Hlavacek-Larrondo et al; Optical/IR: NASA/STScI

(参照)Chandra X-ray Observatory

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