ベピコロンボの2回目の水星フライバイ時にとらえた初画像が公開された

日欧共同の水星探査ミッション「ベピコロンボ」が2022年6月23日(日本時間、以下同じ)、減速と軌道の微調整のために水星での2回目のフライバイを実施しました。画像はフライバイの際に撮影されたもので、水星表面の地形がはっきりと映し出されています。

水星への最接近時刻は23日18時44分で、水星表面から高度200kmまで近づきました。画像はその約5分後の18時49分22秒に撮影されたものです。

ベピコロンボは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)とESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)、電気推進モジュールMTM(Mercury Transfer Module)が結合した形で航行しています。

MTMに妨げられるため、フライバイの際には探査機のメインカメラでは撮影できません。画像はMTMに3台設置されているモニタリングカメラ(MCAM)のうちの1台(MCAM2)で撮影されました。

画像に映っている機体はMPOの一部です。水星の昼夜境界に沿うように左下から右上に伸びているのは磁気センサーで、右下には中利得アンテナが映っています。

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画像に映るクレーターなどの地形

画像下端から磁気センサーに向かい、「チャレンジャー断崖(Challenger Rupes)」と名付けられた崖が見えています。この断崖は長さ約200km、高さ約2kmに及ぶものです。画像には200kmのうち約170kmが見えています。

なお、この断崖にはこれまで名前は付けられていませんでしたが、今回のフライバイで撮影されることを見越して、国際天文学連合(IAU)により6月初めに名付けられました。

水星の断崖には、過去の探検に使われた船名などが付けられています。チャレンジャー断崖の名は、1872〜76年に探検航海を行った船チャレンジャー号に由来しています。

一方、水星のクレーターには世界の芸術家にちなんだ名前が付けられています。「Eminescu(直径129km)」は19世紀のルーマニアの詩人、「Izquierdo(直径174km)」は20世紀のメキシコの画家、「Xiao Zhao(直径24km)」は12世紀の中国の画家にちなんで名付けられたものです。「クニサダ(Kunisada)」は江戸時代の浮世絵師、歌川国貞にちなんだ名前です。参考記事:日本人にちなむ名前が付けられた水星のクレーターの一覧

Eminescuクレーターには「Hollows」と呼ばれる水星特有の窪地があることで知られています(参考記事:水星にある謎の窪地「Hollows」)。Xiao Zhaoクレーターの周囲には、隕石衝突時の噴出物が放射状に明るく広がっています。このような明るい光条は時間とともに暗くなっていくことから、Xiao Zhaoクレーターは比較的新しいクレーターであることが分かります。

ベピコロンボは2025年12月に水星の周回軌道に入るまで、合計9回のフライバイを行います。今回の水星での2回目のフライバイは、全9回のうちの5回目です。今後、あと4回、水星でフライバイを行うことになります。

Image Credit: ESA/BepiColombo/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA