水星の「紫式部」と「清少納言」

NHK大河ドラマでも話題の紫式部と清少納言。実はこの2人の名にちなんだクレーター「ムラサキ・クレーター」と「セイ・クレーター」が水星に存在しています。

水星は、8つある惑星の中で太陽にいちばん近いところを公転する小さな惑星です。その表面は全体が大小さまざまなクレーターに覆われています。無数とも言えるほど数あるクレーターの中で、429個(2024年9月現在)のクレーターには名前が付けられており、そのなかには日本人にちなんだ名前を持つクレーターも31個あります。

この画像には、ムラサキ・クレーターとセイ・クレーターの位置を示してあります。ムラサキ・クレーターは水星の赤道にほど近い低緯度地域(南緯12.54度)、セイ・クレーターは南極域に近い高緯度地域(南緯64.61度)にあります。

こちらはムラサキ・クレーターのクローズアップです。直径は132kmあります。なお、ムラサキ・クレーターのすぐ右下にある同じくらいの大きさのクレーターは、江戸時代の浮世絵師、安藤広重(歌川広重)にちなんで名付けられた「ヒロシゲ・クレーター」です。

こちらはセイ・クレーターのクローズアップ。直径は137kmで、ムラサキ・クレーターとほぼ同じ大きさです。

どちらのクレーターの名称も、1976年にIAU(国際天文学連合)で承認されました。

水星のクレーターには画家や作家、音楽家など、世界各国の芸術家にちなんだ名前が付けられています。ムラサキ・クレーターやセイ・クレーターのほかに、日本人にちなんだクレーターとしては、ウンケイ・クレーター(運慶)、ホクサイ・クレーター(葛飾北斎)、ソウセキ・クレーター(夏目漱石)、ヤマダ・クレーター(山田耕作)などがあります。

(参考記事)日本人にちなむ名前が付けられた水星のクレーターの一覧

なお今回の記事に掲載している画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)のメッセンジャー探査機のデータからUSGS(アメリカ地質調査所)が作成した画像データをもとに、編集部でレンダリングしたものです。

(参照)Planetary Names(USGS)