2024年9月5日(日本時、以下同じ)に実施した、水星探査計画ベピコロンボの4回目の水星フライバイの際の映像が、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)から公開されました。
この動画は、ベピコロンボの電気推進モジュール(MTM)に取り付けられている3台のモニタリングカメラ(M-CAM)で撮影した128枚の画像から構成されています。
ベピコロンボは9月5日6時48分に水星へ最接近しました。最接近時には水星表面から約165kmまで近づきました。映像冒頭の数枚の画像は、フライバイの数週間〜数日前にモニタリングカメラ1(M-CAM1)で撮影されたものです。画面上部に水星が見える画像は、5日7時ごろに撮影されたものです。
その後、映像はモニタリングカメラ3(M-CAM3)で撮影された画像に切り替わります。最初に水星が現れる画像は、6時51分ごろに撮影されたもの。
こちらはM-CAM3で撮影された画像の1枚です。今年8月に命名されたばかりの、ピークリングをもつストッダート・クレーターなどが見えています。撮影時の水星表面からの距離は約555km。
続いて、モニタリングカメラ2(M-CAM2)の画像になります。6時50分ごろ撮影の画像からスタート。水星全体が見える画像では、水星の南極域も見えています。
こちらはM-CAM2で撮影された画像の1枚。ピークリングをもつヴィヴァルディ・クレーターなどが見えています。撮影時の水星表面からの距離は約355km。
こちらもM-CAM2で撮影されたもので、水星の南極が映っています。撮影時の距離は水星表面から約3459km。
最後にM-CAM1で撮影された一連の画像が表示されます。M-CAM1の画像は、水星から遠ざかりつつあるときに撮影されたもので、画面上部から現れた水星が次第に全体が見えるようになり、その後、少しずつ遠ざかっているようすがとらえられています。
(参考記事)水星探査機ベピコロンボがとらえた水星 4度目のフライバイ時に撮影
こちらは、ベピコロンボが今回撮影した画像をもとに作成された立体画像です。ストッダート・クレーターやラファエル・クレーター周辺が立体的に表示されています。
モニタリングカメラの位置
この図は、航行中のベピコロンボの構成を示したものです。
ベピコロンボは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)という2機のオービターで水星の観測を行うミッションです。
現在ベピコロンボは、「みお」とMPO、そして電気推進モジュール(MTM)が結合した状態で水星に向かっています。今回紹介した水星の画像はすべて、MTMに設置されたモニタリングカメラ(M-CAM)で撮影されました。M-CAMは、太陽電池アレイやアンテナなどを監視するためのカメラです。
M-CAMは、MTMに3台設置されています。上の図ではオレンジ色で示されているのが3台のモニタリングカメラの位置です。数字はM-CAM1〜M-CAM3を示しています。
白枠内は各M-CAMの視野を示しており、機体の一部がどのように映るかの例も示されています。M-CAM2にはMPOの磁気センサーや中利得アンテナが、M-CAM3にはMPOの高利得アンテナが映り込みます。
水星到着までの道のり
2018年10月に打ち上げられたベピコロンボは、地球で1回、金星で2回、水星で6回の合計9回のフライバイを行った後で、水星に到着することになっています。
水星でのフライバイはあと2回予定されています。2024年12月に5回目のフライバイ、2025年1月に6回目のフライバイを行い、2026年11月に水星の周回軌道に入る予定です。
(参考)「ベピコロンボ」関連記事