
この画像は、地球から12億光年の距離にあるAbell 2384という天体をとらえたものです。全体の質量は太陽の260兆倍にもなります。2つの銀河団が数億年前に衝突して互いに通り過ぎ、それぞれの銀河団から高温ガスが放出されて、2つの銀河団の間にガスの“橋”が架かっています。
NASA(アメリカ航空宇宙局)のチャンドラX線望遠鏡とESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線天文衛星XMM-NewtonのX線画像(青)と、インドの巨大メートル波電波望遠鏡(GMRT)の電波画像(赤)を合成したものです。2020年5月11日にリリースされました。
銀河団は、重力によってまとまっている宇宙最大の天体です。数百〜数千の銀河のほか、膨大な量の高温ガスやダークマターが存在しています。
2つの銀河団の間に架かるガスの橋は、太陽の6兆倍もの質量があり、300万光年以上の長さに伸びています。一方の銀河団にある超巨大ブラックホールから噴出するジェットによって、そのガスの橋が曲げられています。ジェットがガスの橋と衝突する地点で、超音速機からのソニックブームに似たショックフロントの証拠が発見されました。
コンピュータ・シミュレーションによると、銀河団は衝突後、振り子のように運動して互いを何度か通過してから合体し、より大きな銀河団を形成することが分かっています。Abell 2384でも、2つの銀河団は最終的に合体すると考えられています。

Image Credit: X-ray: NASA/CXC/SAO/V.Parekh, et al. & ESA/XMM-Newton; Radio: NCRA/GMRT