ブラックホールから光速の80%で飛び出すジェット

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)のチャンドラX線望遠鏡が、恒星質量ブラックホールから放出されたジェットをとらえたものです。

2018年から19年にかけて、チャンドラによって太陽の8倍の質量を持つ恒星質量ブラックホールと伴星からなる連星系「MAXI J1820+070」の観測が4回行われました。MAXI J1820+070は天の川銀河内、地球から約1万光年の距離にあります。

ブラックホールへ引き寄せられた伴星のガスは、ブラックホールのまわりで降着円盤を形成します。引き寄せられた物質の一部は、円盤の上下方向にジェットとして放出されます。

これらの一連の画像には、ブラックホールから2方向に噴き出したジェットが映っています。左から2018年11月、2019年2月、5月、6月に撮影されました。2019年5月と6月の画像では、下側のジェットは検出されないほど微弱になっています。

これらのジェットの速度を地球から観測すると、上側のジェットは光速の60%、下側のジェットは光速の160%もあるように見えました。自然界では光速を超えるものはありません。下側のジェットが光速の160%と観測されるのは見かけ上のことで、実際には上下のジェットの速度はどちらも光速の80%です。

チャンドラの観測以前に行われていた電波観測の結果を合わせて解析したところ、ブラックホールから遠ざかるにつれてジェットが減速していることなどが分かりました。ジェットの粒子が周囲の物質と相互作用することで減速しているのかもしれません。

恒星質量ブラックホールの想像図。Image Credit: NASA/CXC/M.Weiss

MAXI J1820+070のような天体を研究することで、恒星質量ブラックホールが生み出すジェットや、ジェットと周囲の物質との相互作用の理解が進むと期待されています。

Image Credit: NASA/CXC/Université de Paris/M. Espinasse et al.

https://chandra.harvard.edu/photo/2020/maxij1820/