火星の古代の川がもたらした岩石や礫岩 探査車パーサヴィアランスが観測 | アストロピクス

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火星の古代の川がもたらした岩石や礫岩 探査車パーサヴィアランスが観測

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが撮影したもので、ジェゼロ・クレーター内のデルタ(三角州)地帯の上にある多数の岩が映し出されています。画像は2023年7月6日(845火星日)に、パーサヴィアランスのマストカメラ(Mastcam-Z)で撮影されました。

画像の中央を横切るように、パーサヴィアランスの車輪の跡が見えます。パーサヴィアランスは軽自動車ほどのサイズです。車輪の跡によって岩石のスケール感もわかります。岩石は小石の上に載っており、小石を堆積させた水の流れよりもかなり後になって、その流れよりも深いか、または速く流れた水によって運ばれたと見られています。

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礫岩からコアサンプルを採取した

パーサヴィアランスはこのところ、かつてジェゼロ・クレーターに流れ込んだ川によって作られたデルタの上を移動しながら探査を行っています。2023年6月23日(832火星日)には、20個目の岩石コアサンプルを採取しました。そのサンプルは、かつて川によって他の場所から運ばれてきた礫が堆積し固まった岩石から掘削されたものです。このような礫岩には、パーサヴィアランスが訪れることのない遠方の場所に関する多くの情報が詰まっています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

こちらの画像は、探査車チームが「エメラルド・レイク」と名付けた礫岩から採取されたコアサンプルです(コアは「オーティス・ピーク」と名付けられました)。かつてジェゼロ・クレーターに流れ込んでいた川によって運ばれた鉱物(あるいは岩石の破片)が詰まっているのが映っています。

NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)は、パーサヴィアランスが収集したサンプルを地球へ持ち帰るサンプルリターンを計画しています。サンプルを持ち帰ることができれば、オーティス・ピークの年代や、礫岩が形成された当時の環境、さらには微生物の痕跡が含まれているかどうかが判断できると期待されます。

(参照)JPL