スペイン、アストロバイオロジーセンターのOlga Balsalobre-Ruza氏らの国際研究チームは、太陽系外で同じ軌道を共有する2つの天体を発見した可能性があると発表しました。
地球などの惑星と太陽との間で、重力のバランスが取れて安定する「ラグランジュ点」と呼ばれる場所があります。惑星の公転軌道上で、惑星の進行方向の前後60度離れたところにもラグランジュ点はあり、前方が「第4ラグランジュ点(L4)」、後方が「第5ラグランジュ点(L5)」と呼ばれます。木星の公転軌道では、L4やL5で多数の小惑星が見つかっています。そのような小惑星は「トロヤ群小惑星」と呼ばれています。
太陽系以外の惑星系でも、同じ公転軌道を共有するトロヤ群の天体が存在することは理論的に予測されていました。ただ実際の観測例はこれまでありませんでした。
最大で地球の月の2倍ほどの質量のデブリが存在か
研究チームは、地球から400光年の距離にある「PDS 70」という若い惑星系にトロヤ群惑星が存在する可能性があることを示しました。この惑星系には「PDS 70b」「PDS 70c」という2つの巨大ガス惑星があることが知られています。研究チームはアルマ望遠鏡の観測データを分析し、PDS 70bの軌道上のラグランジュ点周辺にデブリの雲を発見しました。最大で地球の月の2倍ほどの質量のデブリが存在している可能性があるとのことです。このデブリの雲は、形成中の惑星か、あるいはすでに出来上がった惑星の残りものである可能性があるとみられています。
今回の検出を最終的に確認するには、2026年以降まで待つ必要があるとのことです。研究チームはアルマ望遠鏡を使って観測を行い、PDS 70bとデブリの雲の両方が公転軌道に沿って大きく移動するかどうかを確認することを目指しています。