X線と電波で見た3つの銀河団の衝突現場Abell 2256 | アストロピクス

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X線と電波で見た3つの銀河団の衝突現場Abell 2256

この画像に映っているのは、地球から7億8000万光年の距離にある銀河団Abell 2256です。可視光・赤外線の画像を背景に、X線と電波でとらえた画像が合成されています。青がX線、赤が電波でとらえたものです。

Abell 2256は、3つの銀河団が衝突・合体してできた巨大銀河団です。X線でとらえられた、青い雲のように見えているのは、銀河団内にある高温ガスです。一方、赤で示された電波でとらえられた領域はさまざまな構造が見られます。

この画像の中で細長く伸びているCとIは、銀河中心の超大質量ブラックホールから噴出するジェットです。またそのようなジェットがガスと相互作用してできた複雑な構造のフィラメント(A、B、F)も映っています。青い高温ガスの上に広がっている巨大な赤いフィラメント構造は、「電波レリック(RELIC)」と呼ばれる淡い電波放射です。これは銀河団の衝突によって衝撃波が発生し、200万光年以上にわたりガス中の粒子が加速されて生成されたと見られています。

X線画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)のチャンドラX線望遠鏡とESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線望遠鏡XMM-Newtonによって撮影されました。一方、電波画像は巨大メートル波電波望遠鏡(GMRT)、LOFAR、カール・G・ジャンスキーVLAによって撮影されました。背景はパンスターズ望遠鏡による画像です。

こちらはX線のみの画像です。

こちらは電波のみの画像。

Image Credit: X-ray: Chandra: NASA/CXC/Univ. of Bolonga/K. Rajpurohit et al.; XMM-Newton: ESA/XMM-Newton/Univ. of Bolonga/K. Rajpurohit et al. Radio: LOFAR: LOFAR/ASTRON; GMRT: NCRA/TIFR/GMRT; VLA: NSF/NRAO/VLA; Optical/IR: Pan-STARRS

(参照)Chandra X-ray Observatory