木星の衛星エウロパの氷の地殻の下には海が存在し、その海から地殻を通して水蒸気が噴出しているとみられています。
このたびアメリカのスタンフォード大学などの研究チームによって、エウロパで発生している水蒸気の噴出(プリューム)の中には、海から発生するのではなく氷の地殻内で溶けた水が噴出しているものもあるとする研究が発表されました。
研究チームはNASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ガリレオの画像を使い、凍結と加圧の組み合わせがどのように氷火山の噴火につながるのかを説明するためのモデルを開発しました。
研究チームは、エウロパ表面にある直径30kmほどのクレーター「Manannán」に焦点を当ててモデル化しました。そのクレーターは数千万年前の天体衝突によってできたものです。
そのモデルによると、衝突現象によってできた塩分濃度の高い水たまりがエウロパの氷の地殻内を横へ移動し、Manannánクレーターの中心部に到達したときに、そこにとどまって凍結しはじめて圧力が高まり、ついにはプリュームとなって噴出したと予測されています。
この知見は、エウロパだけでなく太陽系にある他の氷天体での氷火山噴火を説明できる可能性もあるとのことです。