
この画像に映っているのは、蝶のような形をしていることから「バタフライ星雲」とも呼ばれる惑星状星雲NGC 6302です。NGC 6302は、さそり座の方向、地球から2500〜3800光年の距離にあります。画像は南米チリ、セロ・パチョン山に設置された口径8.1mのジェミニ南望遠鏡で撮影されました。
惑星状星雲とは、年老いた星から周囲の宇宙空間へと放出されたガスが電離して輝いている天体です。惑星のような丸い形をしているものもあり、かつて小さな望遠鏡で観測したときに惑星のように見えたことから「惑星状星雲」と名付けられましたが、実際の惑星とは全く関係ありません。惑星状星雲には、NGC 6302のようにガスが両極方向に広がった形のもの(双極星雲)も多く存在しています。
中心には表面温度が25万℃超の白色矮星が存在
NGC 6302の中心には白色矮星が存在しています。白色矮星とは、外層のガスを失った後に残る高密度の天体です。NGC 6302の白色矮星は2000年以上前に外層のガスを放出し、現在では太陽の約3分の2の質量になっています。この白色矮星の表面温度は25万℃を超えており、知られている中で最も高温の恒星の一つです。これは元の恒星が非常に巨大だったことを示唆しています。
白色矮星からの強烈な放射は、NGC 6302の「翅」を2万℃以上まで加熱してガスを輝かせています。画像中の赤は励起した水素、青は励起した酸素の領域を示しています。
画像はジェミニ南望遠鏡の観測25周年を記念して撮影されたものです。チリの学生たちの投票によって、撮影対象としてNGC 6302が選ばれました。
(参考)
「翅を広げた蝶のような惑星状星雲NGC 6302」(ハッブル宇宙望遠鏡の撮影画像を紹介)
「バタフライ星雲の中心部をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた」
Credit:
International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA
Image Processing: J. Miller & M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani (NSF NOIRLab)
(参照)NOIRLab

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