
この画像は、渦巻銀河M100をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたものです。M100は渦状腕がはっきりと見える「グランドデザイン銀河」と呼ばれるタイプの銀河の一つで、かみのけ座の方向、地球から5600万光年の距離にあります。
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられました。NASA(アメリカ航空宇宙局)はハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ35周年(2025年4月24日)に向けて、これまでハッブルが撮影してきた画像から、「35 Years of Hubble Images」と題して各年1枚ずつ選んで紹介しています。このM100の画像は29年目の画像として紹介されています。
画像には渦を巻く星々とともに、暗い塵の帯も渦を巻いているのが映っています。M100の渦状腕には、小さなブラックホールがいくつか存在しており、その中には近隣の宇宙で観測された中で最も若いブラックホールも含まれています。

こちらの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が1993年にWFPC(広視野惑星カメラ)で撮影したものです。打ち上げられた直後、ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡はわずかに歪んでいることが発覚しました。この画像では焦点が合わずに銀河の像がぼやけて見えています。画像中央下に見られる前景のオレンジ色の星も、点状ではなく広がって見えてしまっています。
1993年に実施されたスペースシャトルによる保守ミッションで、WFPCはWFPC2(広視野惑星カメラ2)に交換されました。WFPC2には、主鏡の歪みを補正する機能がありました。冒頭の画像は、WFPC2のさらに後継機のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたものです。WFPCの画像で広がって見えていたオレンジ色の星が点状に見えているのがわかります。
(参考)劇的に視力が向上したハッブルとらえたM100の中心部 〜 30 Years, 30 Images #4(1994年)
(参考)「35 Years of Hubble Images」記事一覧
Image Credit: NASA, ESA, and Judy Schmidt