3つの星の光を散乱して輝く、おうし座の反射星雲「GN 04.32.8」

この画像はハッブル宇宙望遠鏡がとらえたもので、「GN 04.32.8」と呼ばれる反射星雲が映っています。GN 04.32.8は、星形成の現場である「おうし座分子雲」の一部で、地球から480光年の距離にあります。

反射星雲は自ら光を放ってはおらず、近くにある星の光が星雲の塵に当たって散乱することで輝きます。GN 04.32.8は、画像中央に見られる3つの明るい星、その中でも特に中心にある変光星おうし座V1025の光を散乱して輝いています。

3つの星のうちの1つは星雲の一部と重なっています。こちらは、おうし座HP星と呼ばれる変光星です。この星は、安定して輝く主系列星より若い「Tタウリ型星」と呼ばれるタイプの星に分類されています。

3つの星は、おうし座HP星、おうし座HP星G2、おうし座HP星G3とも呼ばれており、三重星系をなしていると考えられています。

星雲の下側、中央やや左寄りには、原始惑星系円盤を持った原始星も映っています。地球に対して真横を向いた円盤が、暗い筋のように横切っています。

画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、「今週の1枚(Picture of the Week)」として2025年6月30日に公開されました。

(参考)
「ハッブル今週の1枚」記事一覧
一人前になる前の若い星「おうし座HP星」と星を取り囲む星雲(星雲の全体が映る画像を紹介)

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, G. Duchêne

(参照)ESA/Hubble