
ディディモスとディモルフォスの二重小惑星を目指すESA(ヨーロッパ宇宙機関)の探査機ヘラ(Hera)が、2025年3月12日に火星でフライバイを行いました。画像はその際に撮影されたもので、火星を背景に衛星ダイモス(デイモス)が暗く見えています。
画像はヘラ探査機の小惑星フレーミングカメラで撮影されました。このカメラは可視光で撮影するモノクロカメラで、ナビゲーションと科学観測の両方に使用されます。撮影時、ヘラはダイモスから約1000kmの距離のところを通過していました。
火星にはフォボスとダイモスという2つの衛星があります。直径約12.4kmのダイモスは、2つのうち外側を公転する衛星です。火星の表面から約2万3500km離れたところを周回し、地球の月と同じようにつねに同じ面を火星に向けています。画像には火星表面からは見えない面が映っています。
画像上部の明るく見えているのは、火星の「サバエア大陸(Terra Sabaea)」と呼ばれる領域です。画像右下には、火星の南半球にある直径2300km、深さ7km以上の巨大な衝突クレーター「ヘラス盆地」が見えています。
2026年10月に目的地へ到着予定
ヘラは、2024年10月7日に打ち上げられました。目的地である二重小惑星は、直径780mほどのディディモスの周りを直径151mほどのディモルフォスが回っています。そのディモルフォスは、2022年9月にNASA(アメリカ航空宇宙局)のDART(ダート)探査機が衝突して軌道を変更する実験を行った天体です。ヘラはカメラや分光計、レーザー距離計などを用いてディモルフォスや二重小惑星について調査します。
ヘラは2026年10月に、ディディモスとディモルフォスの二重小惑星へ到着予定です。
Image Credit: ESA
(参考)ESAの小惑星探査機Hera、DARTの衝突現場を調査へ
(参照)ESA