水星探査ミッション「ベピコロンボ」の6回目のスイングバイ時の映像をESAが公開 | アストロピクス

水星探査ミッション「ベピコロンボ」の6回目のスイングバイ時の映像をESAが公開

日欧共同の水星探査ミッション「ベピコロンボ」が、2025年1月8日に水星で6回目(最後)のスイングバイを行った際の映像をESA(ヨーロッパ宇宙機関)が公開しました。撮影画像をもとに作成したタイムラプス動画です。動画に使われている画像はいずれも、電気推進モジュール(MTM)に設置されたモニタリングカメラ(M-CAM)で撮影されたものです。なお、MTMやM-CAMについては記事の後半で紹介します。

動画の冒頭は、ベピコロンボが水星へ接近中に撮影されたものです。モニタリングカメラ1(M-CAM 1)とM-CAM 2で、1月8日0時59分(日本時、以下同じ)から9時45分にかけて撮影された一連の画像が使われています。その間、ベピコロンボの水星表面からの距離は、10万6019kmから4万2513kmまで接近しました。

ベピコロンボは8日14時58分52秒に水星表面から295kmまで最接近しました。最接近時、ベピコロンボは水星の影の中にいました。映像は、その暗闇から出た直後に水星の北極を撮影した画像へと続きます。そこには、太陽光の当たることがない永久影をもついくつかのクレーターが映っています。

その次には、15時6分〜49分にかけて、M-CAM 1とM-CAM 2で撮影された水星が現れます。それらの画像には、かつて大量の溶岩が流れ出して形成された平原が見えています。流れてきた溶岩に埋もれかけたメンデルスゾーン・クレーターも映っています。なおESAによると、今回の映像で流れている音楽はメンデルスゾーンが作曲したものとのことです。

最後はM-CAMで撮影された3枚の画像で映像は終了します。

スポンサーリンク

モニタリングカメラについて

Image Credit: ESA
Image Credit: ESA

この図は、航行中のベピコロンボの構成を示したものです。

ベピコロンボは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)という2機のオービターで水星の観測を行うミッションです。

現在ベピコロンボは、「みお」とMPO、そして電気推進モジュール(MTM)が結合した状態で水星に向かっています。M-CAMは、太陽電池アレイやアンテナなどを監視するためのカメラで、MTMに3台設置されています。映像に含まれる画像はすべてM-CAMで撮影されました。

上の図ではオレンジ色で示されているのが3台のモニタリングカメラの位置です。数字はM-CAM1〜M-CAM3を示しています。白枠内は各M-CAMの視野を示しており、機体の一部がどのように映るかの例も示されています。M-CAM2にはMPOの磁気センサーや中利得アンテナが、M-CAM3にはMPOの高利得アンテナが映り込みます。

2018年10月に打ち上げられたベピコロンボは、水星に到着するまでに合計9回(地球で1回、金星で2回、水星で6回)のスイングバイを行うことになっていました。水星での6回目の今回のスイングバイは最後のもので、ベピコロンボは2026年11月に水星の周回軌道に投入される予定です。

(参考)
水星探査機ベピコロンボ、永久影をもつ北極のクレーターをとらえた! 6回目のスイングバイ時に撮影
「ベピコロンボ」関連記事一覧

(参照)ESA