水星探査機ベピコロンボに不具合が発生

水星に接近するベピコロンボの想像図。手前側に太陽電池アレイを備えた電気推進モジュールが見えています。Image Credit: spacecraft: ESA/ATG medialab; Mercury: NASA/JPL
水星に接近するベピコロンボの想像図。手前側に太陽電池アレイを備えた電気推進モジュールが見えています。Image Credit: spacecraft: ESA/ATG medialab; Mercury: NASA/JPL

日欧共同の水星探査計画ベピコロンボで不具合が発生したとESA(ヨーロッパ宇宙機関)が公表しました。スラスターがフルパワーで動作しない問題が発生しているとのことです。

ベピコロンボは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)という2機のオービターで水星の観測を行うミッションです。

現在ベピコロンボは、「みお」とMPO、そして電気推進モジュール(MTM)が結合した状態で水星に向かっています。MTMの太陽電池アレイと電気推進システムは、水星までの航行中にベピコロンボの推力を生み出すために使用されます。

ESAによれば2024年4月26日、スラスターに十分な電力を供給できない問題がMTMに発生したとのこと。運用チームは問題を把握するとすぐに復旧作業を開始し、5月7日までにベピコロンボの推力は元のレベルの約90%まで回復しました。しかしMTMが利用可能な電力は依然として本来よりも低く、フル推力はまだ回復できていないとしています。

運用チームは現在、現状の電力レベルで安定した推進力を維持し、今後の飛行にどのような影響を与えるかを推定しようとしています。一方で、問題の根本的な原因を特定し、スラスターに利用できる電力を最大化するための作業を並行して続けていくとのことです。

ベピコロンボは今年9月には水星で4回目のフライバイを行う予定になっています。現在の電力レベルが維持できれば、それに間に合うように水星に到着するはずだとのこと。ベピコロンボは2025年12月に水星の周回軌道へ入り、2026年春から科学運用を開始する予定です。

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(参照)ESA