16万光年彼方の巨大星! 銀河系外の死にかけた星のクローズアップを初撮影

この画像に映っているのは「WOH G64」という巨大な星です。この星は天の川銀河にある星ではなく、地球から16万光年離れたところにある大マゼラン銀河に属する星です。WOH G64は太陽の約2000倍もの大きさをもつ赤色超巨星。天の川銀河の外にある星のクローズアップ画像が撮影されたのは初めてとのことです。

画像はESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLTI(超大型望遠鏡干渉計)の観測装置GRAVITYにより撮影されました。VLTIは、ESOの4台のVLT(超大型望遠鏡)と4台の可動式補助望遠鏡(AT)のいずれかによって観測された光を組み合わせて、より大きな仮想的な望遠鏡として機能するものです。WOH G64は以前から知られていましたが、2016年からVLTIで使われている第2世代の観測機器であるGRAVITYにより、WOH G64のクローズアップ撮影が可能になりました。

画像の中心に見られる明るい楕円は、星を包み込む塵の繭です。周囲に見られる楕円形のリングは、星を取り囲む塵のトーラスの内側の縁である可能性があります。

こちらはWOH G64の想像図。卵形の塵の繭と、塵のトーラスが描かれています。

新たな観測結果を過去の観測結果と比べたところ、ここ10年間でWOH G64が暗くなっていることがわかりました。WOH G64のような赤色超巨星は、寿命の最終段階でガスと塵の外層を放出します。その放出された物質が、暗くなった原因だろうと研究チームは考えています。また星の周りの塵の繭の卵のような形は、放出された物質か、あるいは未知の伴星の影響のいずれかで説明できると見ています。

Image Credit: ESO/K. Ohnaka et al., L. Calçada

(参照)ESO