ハッブル宇宙望遠鏡、分裂直後の彗星の観測に偶然成功! | アストロピクス

ハッブル宇宙望遠鏡、分裂直後の彗星の観測に偶然成功!

この画像は、アトラス彗星C/2025 K1 (ATLAS) をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたものです。太陽への接近後、太陽系から去りつつある彗星の核が、少なくとも4つの破片に分裂した姿が鮮明にとらえられています。

こちらは彗星の変化を映像にしたもの。3枚の画像が順に表示されます。

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別の彗星を観測予定だったが、技術的制約によりターゲットを変更

今回のこの観測は、実は偶然の産物でした。研究チームが本来予定していた別の彗星が技術的な制約で観測できなくなったため、ターゲットをK1彗星に変更したところ、まさにその観測中に彗星が分裂するという、非常に稀な瞬間に遭遇したのです。ハッブル望遠鏡が撮影した翌日にデータを見るまで、彗星が分裂していることに気づかなかったそうです。

彗星は、太陽系ができたころの名残の天体で、当時の原始的な物質が残されているタイムカプセルのような存在です。しかしそれらの表面は太陽の熱や宇宙線によって変質してしまっています。研究を主導するDennis Bodewits氏によれば、「彗星が割れることで、これまで隠されていた内部の太古の物質を直接観察できる」ようになります。

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観測の8日前から核の崩壊が始まった

このK1彗星の近日点(太陽に最も近づく点)は水星軌道の内側、太陽〜地球間の距離の3分の1ほどのところにありました。画像は近日点通過から約1か月後に撮影されました。

分裂前のK1は、平均的な彗星よりやや大きく、直径が約8kmだったと考えられています。研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測する8日前から核の崩壊が始まったとみています。ハッブル望遠鏡による観測では、2025年11月8日から10日にかけて毎日1枚ずつ、合計3枚の画像が撮影されました。その間、小さな破片の一つがさらに分裂しました。

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ハッブル望遠鏡の観測でわかったこと

この彗星では、彗星が急に明るくなるアウトバーストが地上の望遠鏡によって観測されていました。ハッブル望遠鏡のデータによって、彗星が分裂してから明るく見えるまでに1〜3日のタイムラグがあることがわかりました。

彗星が明るくなるのは、ほとんどが塵の粒子に太陽光が反射することによるものです。分裂からアウトバーストまでのタイムラグは、彗星が分裂して露出した氷の上に乾燥した塵の層が形成されて吹き飛ばされるまで時間がかかるからかもしれません。あるいは、表面下に熱が伝わって圧力が高まり、塵の殻が膨張して放出されるからかもしれません。

地上からの分析で、ほかの彗星と比べてK1彗星には炭素が著しく少ないことがわかっています。ハッブル望遠鏡のデータの分析により、K1彗星の組成などについてさらに詳しいことが明らかになると期待されます。

なおK1彗星についてはアストロピクスで、ジェミニ北望遠鏡で2025年11月11日と12月6日に撮影された画像を紹介したことがあります。あわせてご覧ください。

(参考)
核が分裂した彗星をジェミニ北望遠鏡が撮影
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Image Credit: NASA, ESA, D. Bodewits (Auburn). Image processing: J. DePasquale (STScI)

(参考)ESA/Hubble