運用終了の火星ヘリ、今後もデータ収集を継続へ。未来の回収に期待

2024年2月24日、探査車パーサヴィアランスが撮影したインジェニュイティ。画像中央付近には折れたローダーブレードの破片が映っています。
2024年2月24日、探査車パーサヴィアランスが撮影したインジェニュイティ。画像中央付近には折れたローダーブレードの破片が映っています。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」は、2024年1月25日でミッションを終了しました。1月18日に行われた72回目の飛行での着陸時にローターブレード(回転翼)を損傷し、飛行することができなくなったためです。

冒頭の画像のクローズアップ。ローターブレードが折れているのが映っています。
冒頭の画像のクローズアップ。ローターブレードが折れているのが映っています。

インジェニュイティはその後も、基地局の役割を果たす探査車パーサヴィアランスとの通信はできる状態にありました。ただ探査車は移動しながら調査を続けており、いずれインジェニュイティとの通信範囲外まで移動することになります。

そんなインジェニュイティは今後、探査車との通信ができなくなった後も、データの収集を続けることになりました。インジェニュイティは毎日起床してフライトコンピューターを起動、ソーラーパネルやバッテリー、電子機器のパフォーマンスをテストすることになります。またカラーカメラで地表の写真を撮影し、機体に設置されているセンサーによって温度データを収集します。

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貴重なデータは未来への贈り物

やがてインジェニュイティの電子部品が故障してデータ収集が停止したり、ソーラーパネルに塵が積もって電源が失われたりする日がやってきます。ただそのような場合でも、インジェニュイティが収集したデータは内部に保存されたままになります。インジェニュイティのメモリには、毎日のデータを約20年分保存できる容量があるとみられています。

インジェニュイティのプロジェクトマネージャーを務めるJPL(ジェット推進研究所)のTeddy Tzanetos氏は、将来この地に新たな探査車や宇宙飛行士が訪れたとき、インジェニュイティはデータという最後の贈り物を持って待っていることになるだろうと述べています。

インジェニュイティはもともと、30日間で最大5回の飛行試験を行う予定でした。それにもかかわらず、この火星ヘリコプターはほぼ3年間にわたり運用され、予想より14倍以上の距離を飛行しました。総飛行時間は2時間以上に及びました。

(参考記事)
NASAの火星ヘリコプター、ローターブレードが損傷し運用を終了
翼の折れた火星ヘリコプター 探査車が415mの距離から撮影

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/LANL/CNES/CNRS

(参照)JPL