この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた土星です。2023年10月22日に撮影されたもので、その時点の土星は、地球から約13億6500万km離れたところに位置していました。画像は、木星以遠の惑星の大気を観測する「OPAL(Outer Planets Atmospheres Legacy program)」というプログラムの一環で撮影されました。
画像には、土星の左に衛星ミマス、右上に衛星ディオーネ、右に衛星エンケラドスが映っています。またリングには「スポーク」と呼ばれる現象も映し出されています。スポークはリングとともに回転しますが、土星を2〜3回転する間だけしか持続しません。
土星のリングのスポークを初めてとらえたのは、1981年に土星へ最接近したボイジャー2号です。ハッブル宇宙望遠鏡はこのところ、スポークのようすを毎年観測しています。それにより、スポークの数とコントラストが、土星の季節とともに変化することがわかりました。なお、土星は自転軸が26.7度傾いており、地球と同じように季節変化があります。土星は約29年半で太陽を1周するので、1つの季節が7年半ほど続きます。
スポークは、土星の強力な磁場と太陽との相互作用に関連していると見られています。この相互作用で発生する静電気力が、塵や氷をリングの上に浮かせてスポークを形成すると考えられていますが、はっきりしたことは分かっていません。
こちらの映像は、土星の左側のリングにみられたスポークをとらえたものです(Credit: NASA, ESA, STScI, A. Simon (NASA-GSFC), J. DePasquale (STScI))。スポークが移動するのが映っています。
Main Image Credit: NASA, ESA, STScI, A. Simon (NASA-GSFC)
(参照)ESA/Hubble、Hubblesite