ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が土星を撮影した画像が公開されました。この画像は2023年6月25日に、ウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影されたものです。
土星本体は非常に暗く映っています。これは大気中のメタンガスが、大気に降り注ぐ太陽光を吸収するためです。一方で、氷の粒からなる土星のリングは明るく見えており、いくつかの領域に分かれているのもわかります。また衛星ディオーネ、エンケラドス、テティスも、土星の左側にはっきりと映っています。
2017年まで土星を周回しながら観測していたカッシーニ探査機も赤外線での撮影を行いましたが、3.23μmの波長で土星の大気がこれほど鮮明に撮影されたのは今回が初めてです。土星大気の下層でみられる緯度に沿った縞模様は、この画像では見えていません。
土星は現在、北半球が夏を迎えています。北極付近が暗いのは、おそらく極地方のエアロゾルに影響を与える未知の季節的なプロセスによるものとみられます。土星本体の縁の部分がかすかに明るくなっているのは、高高度のメタンの蛍光、電離層のH3+からの放射、あるいはその両方によるものである可能性があります。
Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, M. Tiscareno (SETI Institute), M. Hedman (University of Idaho), M. El Moutamid (Cornell University), M. Showalter (SETI Institute), L. Fletcher (University of Leicester), H. Hammel (AURA), J. DePasquale (STScI)