土星のリング | アストロピクス

土星のリング

土星のリング(環)は、発見された順にアルファベットがAから付けられています。リングの中でも特に目立つA、B、Cリングは「メインリング(主リング)」と呼ばれます。Cリングの内側にはごく淡いDリング(上の画像では見えていません)、Aリングの外側には非常に細いFリングが存在しています。

AリングとBリングの間は「カッシーニの間隙(空隙)」と呼ばれます。1枚目の画像ではそのほかにAリング内の「エンケの間隙」の位置も示してあります。2枚目のより詳しい画像では、キーラーの間隙、ホイヘンスの間隙、マクスウェルの間隙、コロンボの間隙の位置も示してあります。

2枚目の画像の下に書いてあるのは、土星の中心からの距離(km)です。なお土星の赤道半径は5万8232kmです。土星のリングはメインリングだけでも幅が6万km以上ありますが、その厚みはほとんどの場所で10m程度しかありません。マイクロメートルサイズから数十メートルサイズの水の氷の塊が集まってリングを作っています。

なお冒頭の画像はどちらも土星探査機カッシーニがとらえたものです。1枚目は過去記事「カッシーニ探査機が、周回軌道投入後まもない時期にとらえた土星」で紹介した画像です。2枚目は2008年11月26日にカッシーニ探査機が撮影した45枚の画像を元に作成されたものです。

Fリングの外側にもGリングやEリングがあることが知られています。Eリングの材料の多くが、氷粒子や水蒸気を噴出している衛星エンケラドスに由来しています。

さらに衛星フェーベの軌道(土星からの平均距離1294万7913km)を取り囲むように「フェーベリング」と呼ばれるリングも存在しています。このフェーベリングは2009年になってスピッツァー宇宙望遠鏡によって発見されたもので、メインリングのリング面から27度傾いた軌道をもっています。氷と塵の粒子でできた非常に淡いリングです。

なおこの図で土星とGリング、Eリングを示した画像や衛星イアペタスとフェーベの画像はカッシーニ探査機がとらえたものですが、フェーベリングはイラストです。

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute、NASA/JPL-Caltech

(参照)Planetary PhotojournalNASA Spitzer Space Telescope