この画像は、月の南極付近にあるシャックルトン・クレーターの内部を、韓国の月探査機「タヌリ」に搭載された観測装置「ShadowCam」でとらえたものです。クレーター内部には太陽光が当たらず暗くなっていましたが、超高感度カメラであるShadowCamによって表面のようすが鮮明に映し出されています。
月の自転軸はわずか1.5度しか傾いていません。そのため月の両極から見ると、太陽はほぼ常に地平線付近にあります。その結果、極付近のクレーターの内部は、太陽光が射すことのない永久影となっている場所があります。
NASA(アメリカ航空宇宙局)が提供したShadowCamは、NASAの月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターに搭載されたカメラLROCを改良したものです。LROCより200倍以上も高感度の撮影が可能で、近くの地形から反射する光を利用して永久影の中も映し出すことができます。
画像の幅は2040メートル。画像の上の方の明るめになっている部分は急峻な壁のふもと付近で、そこから下はクレーターの床が映っています。壁の斜面には、直径5mほどの岩が転げ落ちた跡(下の画像の矢印部分)が見えています。岩が転がったこのような跡は月の他の場所でも見られます。参考記事:ホールインワンならず。月面の小クレーター手前で止まった岩
2022年8月に打ち上げられたタヌリは、同年12月に月の周回軌道に入りました。タヌリは今後、月面の永久影になっているすべての領域の撮影を行う予定です。
Image Credit: NASA/KARI/Arizona State University
(参照)ShadowCam