ウェッブ望遠鏡が「宇宙の崖」で見た若い星々

この画像は、カリーナ星雲の北西の隅にある星形成領域NGC 3324の一部を、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影したものです。

この領域は「宇宙の崖(Cosmic Cliffs)」とも呼ばれ、2022年7月に初めて公開されたウェッブ望遠鏡のカラー画像にもこの領域をとらえたものが含まれていました。以前公開された宇宙の崖の画像は6つの波長の光を合成したものでしたが、今回の画像は7月の画像から星形成に不可欠な水素分子を目立たせる3波長の光を分離したものです。

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20数個の原始星からのガス流を発見

宇宙の崖はNGC 3324にあるガス状の空洞の端の部分で、星形成の場所として知られています。ハッブル宇宙望遠鏡による研究も行われてきましたが、可視光では星形成の詳細を見ることはできません。ウェッブ望遠鏡が赤外線(4.7μm)で観測することで、非常に若い星からのこれまで知られていなかったアウトフロー(ガスの流れ)が20数個見つかりました。それらのアウトフローは小さなものから大きなものまでさまざまです。これらの原始星の多くは、太陽のような低質量星へ成長しつつあります。

原始星の重力に引かれて周囲からガスや塵などの物質が落下してくると、ほとんどの星は物質の一部をジェットやアウトフローとして極域から放出します。これまでのジェットやアウトフローの観測は、比較的近い領域や、より進化した天体が主な対象でした。ウェッブ望遠鏡により、より遠くの領域や、より若い段階の天体が調査可能になります。

この画像の右側の3枚(左側の白枠内)は、「宇宙の崖」の中でもとくに活発なアウトフローがみられる3領域を示したものです。

冒頭の画像のオリジナルデータは、14,564×11,227ピクセルもあります。こちらはオリジナルの解像度のまま、画像の一部を切り抜いたものです。

画像は、ウェッブ望遠鏡のNIRCamによる4.7μm、4.44μm、1.87μmのデータに赤、緑、青を割り当てて合成したものです。STScI(宇宙望遠鏡科学研究所)などから2022年12月15日に公開されました。

Credits
SCIENCE: Megan Reiter (Rice University)
IMAGE: NASA, ESA, CSA, STScI
IMAGE PROCESSING: Joseph DePasquale (STScI), Anton M. Koekemoer (STScI)

(参照)Webb Space TelescopeESA/Webb