この画像は、矮小不規則銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」の一部をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がNIRCam(近赤外線カメラ)でとらえたものです。WLMは天の川銀河やアンドロメダ銀河などを含む局所銀河群(局部銀河群)に属する銀河で、くじら座の方向、300万光年の距離にあります。
画像には色やサイズ、温度、年齢などさまざまな星が映し出されているほか、遠方銀河も多く映り込んでいます。
こちらはスピッツァー宇宙望遠鏡とウェッブ望遠鏡の画像を並べたものです。左はスピッツァー望遠鏡の赤外線カメラIRACで、銀河の同じ領域を撮影した画像です。天の川銀河の外にある銀河の星々を、ウェッブ望遠鏡が非常に鮮明にとらえていることが分かります。画像は2022年11月9日にウェッブ望遠鏡のウェブページなどで公開されました。
銀河や星の形成と進化の研究に役立つ
WLMは局所銀河群の中で比較的孤立しています。「ほかの銀河と相互作用しておらず、銀河の形成と進化に関する理論をテストするのに非常に適していると考えています」と、WLMの研究を進めるラトガー大学のKristen McQuinn氏は言います。
またWLMに存在するガスは重い元素が乏しく、初期宇宙の銀河のガスに似ています。これは銀河風によって、それらの元素の多くが失われてしまったためです。初期宇宙の小さな銀河において、どのように星が形成され進化したのかを研究するために利用できるという点で、WLMは非常に興味深い銀河だとMcQuinn氏は語っています。