2021年12月25日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられました。ただしすぐにウェッブ望遠鏡による観測が始まるわけではありません。天体を観測する本格的な科学運用のスタートは打ち上げから6か月後に予定されています。ここでは打ち上げから観測開始までの予定を紹介します。
ウェッブ望遠鏡は、太陽-地球系の第2ラグランジュ点(L2)を周回する軌道から観測を行います。L2は、地球から見て太陽とは反対側、約150万kmの距離にあります。打ち上げ後、ウェッブ望遠鏡はおよそ1か月かけてL2に向かいます。
打ち上げ2時間後に高利得アンテナを展開、12.5時間後に最初の軌道修正マヌーバを実施します。2日後には2回目の軌道修正マヌーバを実施した後、主要な展開シークエンスが開始される予定になっています。
こちらは望遠鏡の展開の様子を示したイラストと映像です。まずは前後のサンシールドパレット(サンシールドの支持構造物)を展開し、続いてサンシールドを展開します。打ち上げ6日後には副鏡を支える3本の柱状の構造物を展開して副鏡を主鏡の前方へと伸ばし、次に主鏡の両サイドを開きます。
サンシールドが展開すると、鏡や観測機器は冷え始めます。打ち上げから29日後に最終の軌道修正が行われ、ウェッブ望遠鏡はL2点を回る最終軌道へ投入されます。
打ち上げから33日後、NIRCam(近赤外カメラ)とNIRSpec(近赤外分光形)の運用が始まります。ただこの時点では、主鏡はまだ調整されていないため画像はピンボケです。主鏡の調整作業は打ち上げ44日後から始まり、副鏡の焦点合わせも行われます。
打ち上げ60日後から90日後にかけて、主鏡を構成するそれぞれの鏡の調整が行われます。打ち上げ3か月が経過するころには、科学観測画像が撮影できるようになります。またその頃までに、ウェッブ望遠鏡はL2点を回る初期軌道への投入が完了する予定です。
打ち上げ約85日後には、NIRCamでの望遠鏡画像の最適化が完了します。その後、1か月半をかけて、他の観測機器の画像の最適化が行われます。代表的な科学ターゲットを観測することによって、全ての機器を試験・較正します。
打ち上げから6か月後、本格的な科学運用が始まることになります。
(参考記事)ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡はどう違う?
(参照)James Webb Space Telescope media kit(PDF)、Explore Deployments