火星ヘリコプターの飛行音をNASAが公開

火星ヘリコプター「インジェニュイティ」の飛行音がNASA(アメリカ航空宇宙局)から公開されました。音は火星探査車パーサヴィアランスのSuperCamに組み込まれたマイクで、2021年4月30日に実施されたインジェニュイティの4回目の飛行時に録音されました。

上の動画はその音と、パーサヴィアランスのカメラMastcam-Zで撮影された映像を組み合わせたものです(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS/LANL/CNES/CNRS/ISAE-SUPAERO)。映像の最初の方は風の音が聞こえていますが、ヘリコプターが離陸すると回転音の低い音が聞こえてきます。ブレードの回転音を分離してボリュームを上げ、聞きやすくなるように処理されています。

録音時、パーサヴィアランスはヘリコプターの離着陸地点から80メートル離れた場所に位置していました。火星の大気は音が伝わりにくいため、ヘリコプターの音は拾えないだろうと見られていました。今回のように、他の惑星にある探査機が、別の探査機の音を録音したのは史上初めてのことです。

パーサヴィアランスのSuperCamは、約7メートル以上の距離からピンポイントでレーザーを照射し、カメラと分光器で岩石の組成などを調べることができる装置です。SuperCamのマイクでレーザーが当たった時の音を記録することで、岩石の硬度などの物理的な特性に関する情報を得ることができます。今回のヘリコプターの飛行音の録音には、そのSuperCamのマイクが使われました。

(参照)JPL