2024年1月5日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のX線分光撮像衛星XRISMの初画像が公開されました。XRISMは2023年9月7日に打ち上げられた衛星で、10月7日からは観測装置の機能確認と調整が進められてきました。
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こちらの画像は、XRISMのXtend(エクステンド、軟X線撮像装置)で撮影された銀河団「Abell 2319」です。Abell 2319は地球から約7億7000万光年の距離にある銀河団で、そこでは2つの銀河団が衝突していると考えられています。
画像は可視光(背景)とX線(紫)を重ねたもので、紫はX線を放射する高温プラズマの分布を示しています。従来のX線観測では、視野の関係で銀河団全体をとらえるには複数回の観測が必要でしたが、Xtendでは1回の観測で銀河団全体がとらえられています。
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こちらは大マゼラン銀河にある超新星残骸「N132D」をXtendでとらえた画像です。色はX線のエネルギーの違いを表しています。地球からの距離は約16万3000光年。太陽の約15倍の質量の恒星が超新星爆発を起こしてから3000年ほど経過したものと推定されており、大マゼラン銀河の中では最も明るい超新星残骸です。
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JAXAの発表では、XRISMのResolve(リゾルブ、軟X線分光装置)でとらえられたN132DのX線スペクトルも公開されました。この図は、N132DのX線スペクトルを示したものです。スペクトルからは、ケイ素、硫黄、アルゴン、カルシウム、鉄などの元素からのX線輝線が高精度で検出されました。これにより、元素の種類などを検出する感度が非常に高いことが確認されました。