ソーラー・オービターが最接近時にとらえた太陽の詳細画像 | アストロピクス

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ソーラー・オービターが最接近時にとらえた太陽の詳細画像

ESA/NASAの太陽探査機ソーラー・オービターが2022年3月26日、太陽に最接近し近日点を通過しました。最接近時、ソーラー・オービターは水星軌道より内側に入り、0.32天文単位(1天文単位は太陽〜地球間の距離に相当する約1億5000km)まで太陽に近づきました。その際に撮影された画像や動画が、5月18日にESA(ヨーロッパ宇宙機関)から公開されました。

この画像は最接近の翌日の3月27日に撮影されたもので、太陽の上層大気である「コロナ」が映っています。波長17ナノメートルの極端紫外線で撮影したもので、約100万度のガスが映し出されています。

この動画では、極端紫外線撮像装置(EUI)の太陽全球撮像装置(FSI)で撮影した全球画像と、高解像度望遠鏡(HRIEUV)で狭い領域を撮影した詳細画像を見ることができます。

今回の近日点通過時の観測画像で特に注目されたのが「ハリネズミ(hedgehog)」と愛称が付けられた現象です。この画像は3月30日にEUIで撮影したもので、中央右下の明るく見える領域が「ハリネズミ」です。「ハリネズミ」はさまざまな方向へ伸びるガスのスパイクを伴い2万5000kmにわたり広がっています。その正体やどうやって形成されるのかについては分かっていません。

こちらのEUI画像は3月30日にソーラー・オービターがEUIで撮影した太陽の南極です。上の画像と同じく波長17ナノメートルの極端紫外線で約100万度のガスをとらえています。

明るい領域は、「閉じた磁力線」と呼ばれる太陽内部から上昇する磁気のループによって作られます。粒子はそこをこえられずに捕まり、EUIで検出できる極端紫外線を放出します。暗い部分は磁場が開いている領域で、そこから粒子が宇宙空間へ逃げ出して太陽風となります。

ソーラー・オービターは2025年以降、金星の引力を利用して軌道の傾きを少しずつ大きくしていく予定です。それによりソーラー・オービターは、太陽の極域の観測をより高い角度から行うことができるようになります。

Image Credit: ESA & NASA/Solar Orbiter/EUI Team

(参照)ESA