消えた大質量星のミステリー

失踪前の高光度青色変光星の姿を描いた想像図。Credit: ESO/L. Calçada

その星は以前、みずがめ座の方向、7500万光年の距離にあるキンマン矮小銀河(PHL 293B)に存在していました。

2001年から2011年の間、天文学者のさまざまなチームが、その大質量星の観測を行い、その星が進化の晩期にあることを示しました。ところが2019年、大質量星がどのように寿命を終えるのかを研究するため、天文学者のチームがESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)を矮小銀河に向けたところ、その星の存在を示す明白な兆候を発見することができませんでした。

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたキンマン矮小銀河。Credit: NASA, ESA/Hubble, J. Andrews (U. Arizona)

キンマン矮小銀河は遠方にあるため、1つ1つの星を見ることはできません。しかし2001年から2011年にかけて、銀河からの光は一貫して、太陽より250万倍ほど明るい「高光度青色変光星」というタイプの星が存在する証拠を示し続けていました。それにもかかわらず2019年の観測データからは、その痕跡を見つけることができなかったのです。

大質量星のほとんどは、超新星爆発を起こして生涯を終えます。超新星爆発があったなら、誰かがそれに気づいたはず。研究チームでは、その星が消えた理由と超新星爆発がなかった理由について、観測とモデルに基づいて2つの説明を提案をしています。

1つは光度の高い青色の星が光度の低い星に変化した可能性です。塵によって部分的に隠されているかもしれません。

もう1つの可能性は、超新星爆発をおこさずにブラックホールになったというものです。もしこれが正しければ驚くべき発見といえます。

謎を解くためには、今後のさらなる研究が必要です。2025年の運用開始が計画されているESOのELT(Extremely Large Telescope)などによる観測が期待されています。

https://www.eso.org/public/news/eso2010/

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