パーカー・ソーラー・プローブが11回目の太陽最接近を完了

赤い線は2022年2月24日から27日にかけてのパーカー・ソーラー・プローブの経路。赤い点は1時間ごとにプロットしたもの。Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben/SDO
赤い線は2022年2月24日から27日にかけてのパーカー・ソーラー・プローブの経路。赤い点は1時間ごとにプロットしたもの。Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben/SDO

NASA(アメリカ航空宇宙局)の太陽探査衛星パーカー・ソーラー・プローブが2022年2月25日、太陽表面から約850万kmの距離まで接近しました。衛星の基本ミッションとして計画されている24回のうちの11回目の最接近(近日点通過)でした。

パーカー・ソーラー・プローブの最接近の多くは、地球からは見えない位置で発生します。ただ今回の最接近では、近日点を地球から見ることができました。この機会をとらえ、地上望遠鏡や複数の探査機などによる観測キャンペーンが実施されました。

地上からはハワイにあるダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡をはじめ、欧米やアジアにある40以上の天文台で、可視光、赤外線、電波での観測を行っています。またNASAのSTEREO、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のソーラー・オービター、JAXAの「ひので」などの太陽観測衛星のほか、日欧共同の水星探査計画ベピコロンボやNASAの火星探査機メイブンなど10以上の宇宙機が、太陽活動やその影響を同時に観測しているとのことです。

パーカー・ソーラー・プローブは2021年、太陽の上層大気であるコロナにはじめて到達したとして話題になりましたが、今回の接近でもコロナに入り込んでいるとみられています。今回の接近時のパーカー・ソーラー・プローブのデータのほとんどは、3月30日から5月1日にかけて地球へ送信される予定です。

パーカー・ソーラー・プローブは今後、2023年8月と2024年11月に金星フライバイを行い、太陽にさらに接近する軌道に移ります。2024年12月には、太陽表面から620万km以内まで接近する予定になっています。

(参照)PARKER SOLAR PROBE