暴走する超巨星が作り出した弧状衝撃波 | アストロピクス

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暴走する超巨星が作り出した弧状衝撃波

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線天文衛星WISEがとらえたもので、「きりん座アルファ星」が作り出した弧状衝撃波面(バウショック)が赤く映し出されています。

超巨星きりん座アルファ星は、画像中央に明るく輝いています。この星は、伴星の超新星爆発や、他の星に接近した際の相互作用などにより、もといた場所から飛び出してしまった「逃走星」です。きりん座アルファ星までの距離や速度は定かではありませんが、距離はおそらく1600〜6900光年、速度は秒速680〜4200kmという猛スピードで移動していると見られています。

きりん座アルファ星は超巨星であるため、非常に強い星風を放出しています。高速の星風が、ゆっくりと動く星間物質に衝突すると、衝撃波面が発生します。星風は星間物質を圧縮し、加熱して赤外線を発光させます。きりん座アルファ星の衝撃波面は可視光では見えませんが、WISEにより赤外線でとらえられました。このような弧状衝撃波面は、へびつかい座ゼータ星などでも見られます。

この画像では、青とシアンは主に星から出る3.4μmと4.6μmの波長の光、緑は主に塵から出る12μmの光、衝撃波面の部分の赤は22μmの光を表しています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/WISE Team

(参照)WISE