恒星表面の超巨大爆発「スーパーフレア」の観測成功! | アストロピクス

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恒星表面の超巨大爆発「スーパーフレア」の観測成功!

しし座AD星のスーパーフレアの想像図。Image Credit: 国立天文台

「しし座AD星」という星の表面で発生した超巨大爆発現象「スーパーフレア」が観測されました。

太陽表面ではときおり「フレア」と呼ばれる爆発現象が発生します。太陽での最大級のフレアよりも10倍以上のエネルギーを解放する、まさに桁違いのフレアが「スーパーフレア」です。

しし座AD星は「M型星」というタイプの恒星です。M型星は表面温度が低く、フレアの発生頻度が比較的高いことが知られています。太陽の表面温度約5800Kに対して、M型星の表面温度は2300〜3800Kほどしかありません。しし座AD星の表面温度は約3200Kです。

しし座AD星での今回のスーパーフレアの観測は、京都大学や国立天文台などの研究者からなる研究グループが、京都大学岡山天文台の3.8mせいめい望遠鏡を中心として複数の望遠鏡や人工衛星を連携させて行ったものです。

8.5夜にわたる観測の結果、しし座AD星で12件のフレアが検出されました。そのうちの1件は、太陽での最大級のフレアの20倍程度のスーパーフレアで、観測初日に検出されました。

観測データを解析したところ、スーパーフレア中にみられた水素が放つHα輝線が変化する現象は、太陽フレアの知見を用いて説明できるものの、増光を引き起こす高エネルギー電子の量が太陽フレアよりも1桁程度大きいという条件が必要であることが分かりました。

またHα輝線では増光があるものの、可視連続光(白色光)では増光がないフレアがいくつも見つかりました。従来の恒星フレアの研究は主に可視連続光での観測によるものだったことから、これまで指摘されてきたよりもフレアの発生頻度が高い可能性があることが示唆されました。

太陽で発生した大規模なフレアの影響で、これまでにも地球上で通信障害や大規模な停電などが起きたことがあります。頻度は低いものの、太陽でも数百年に1度、スーパーフレアが発生する可能性があるとみられています。スーパーフレアの性質を解き明かすことは、スーパーフレアによって発生しうる災害の被害を減らすことにもつながります。

研究チームでは、今後さまざまな恒星の観測を行っていく予定です。いずれは太陽と似た恒星で発生するスーパーフレアの観測を目指しているとのことです。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2020/200710_1.html