
この画像には、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた銀河M104が映っています。メキシコの帽子にちなんで「ソンブレロ銀河」とも呼ばれるこの銀河は、おとめ座の方向、約3000万光年の距離にあります。暗い塵が銀河を横切るように帯状の領域を作っているのが特徴的です。
ソンブレロ銀河をハッブル宇宙望遠鏡がとらえた画像は、2003年にも公開されたことがあります。今回の画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のESA(ヨーロッパ宇宙機関)側のウェブサイトで、望遠鏡の打ち上げ35周年記念の一環で新たに公開された最新画像です。新たな画像処理技術を用いつつ、銀河の円盤の詳細に加え、周囲に映る星や銀河もより多く映し出されています。
ソンブレロ銀河には莫大な数の星が存在していますが、星形成は活発ではありません。また太陽の90億倍の質量を持つ銀河中心の超巨大ブラックホールも非常におだやかです。
ソンブレロ銀河が渦巻銀河なのか、あるいは楕円銀河なのかははっきりしていません。銀河円盤は渦巻銀河に典型的なもののように見える一方、球状のバルジとハローは楕円銀河に典型的なもののように見えます。それらの組み合わせは、渦巻銀河にも楕円銀河にも似ていないのです。かつてほかの銀河と合体した可能性があり、ソンブレロ銀河の独特な外観は、その衝突・合体が理由なのかもしれません。
1990年4月24日に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、2025年4月で打ち上げ35周年を迎えます。ハッブル望遠鏡のESA側のサイトでは、かつて画像が公開されたことのある天体について、35周年を記念してあらためて新たな画像を公開しています。今回のソンブレロ銀河の画像は、大マゼラン銀河の星団NGC 346の画像に続いて公開されました。
(参考)ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた「ソンブレロ銀河(M104)」
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, K. Noll
(参照)ESA/Hubble