ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の太陽探査衛星ソーラー・オービターがレナード彗星(C/2021 A1)の尾を通過した際、画像の撮影、尾の中の粒子や磁場の観測などを行いました。
ソーラー・オービターがレナード彗星の尾を通過したのは、2021年12月17日ごろの数日間のことです。上の画像は2枚とも、12月15〜16日にコロナグラフMetisで撮影されたもので、1枚目は可視光、2枚目は紫外線でとらえた画像です。可視光の画像は彗星が塵を放出する率のヒントとなり、紫外線の画像からは水の生成率がわかるとのことです。
12月17日から19日にかけて、ソーラー・オービターのSoloHI(太陽圏撮像装置)で撮影された映像については、以前アストロピクスでも紹介したことがあります。
ソーラー・オービターは画像の撮影だけでなく、彗星の尾に存在する粒子や磁場に関する情報も取得しました。それらの情報は、彗星と太陽風の相互作用の研究につながります。
ソーラー・オービターが彗星の尾を通過するのは今回が2回目です。2020年5〜6月、ソーラー・オービターはアトラス彗星(C/2019 Y4)の尾を通過したことがあります。そのときは直前に尾を通過することが分かり、急遽、観測の準備が進められました。一方、今回のレナード彗星の尾の通過は、事前に予測されていたものでした。
ソーラー・オービターは2022年3月には、太陽から0.32au(約5000万km)まで近づく予定です。今後10年間では、20回ほど太陽に接近することになっています。
Image Credit: ESA/Solar Orbiter/Metis Team
(参照)ESA