サハラ発、“ゴジラ”と呼ばれた巨大ダストプルーム

この画像は、サハラ砂漠から大西洋を西に向かう砂嵐に含まれるエアロゾルの広がりを示しています。ヨーロッパの地球観測衛星コペルニクス・センチネル5Pがとらえたものです。

アフリカのサハラ砂漠で舞い上がった砂塵が大西洋を西へ向かう気象現象は、晩春から初秋の時期にかけて毎年発生します。ただ2020年6月に発生したダストプルームはとくに大規模なものになり、SNSなどでは“Godzilla(ゴジラ)”とも呼ばれました。NOAA(アメリカ海洋大気庁)大西洋海洋気象研究所によると、このときのダストプルームは例年より60〜70%ほど塵が多かったとのことです。

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のウェブページでは、2020年6月1日〜26日にエアロゾルが広がるようすを示した動画も公開されています。例年であればサハラからのダストプルームは、アメリカ大陸に到達する前に大気中で分散して大西洋に落下します。しかし動画を見ると、2020年はカリブ海やアメリカ南部に到達しているのが分かります。

サハラからの砂塵は、健康被害につながる可能性がある一方で、生態系に重要な役割を果たしています。海の植物プランクトンの養分になったり、南米アマゾンの熱帯雨林の土壌の養分を補給したりしているのです。

なおアストロピクスでは6月下旬に、サハラから流れ出した大量の砂塵を地球観測衛星がとらえた画像や、ISS(国際宇宙ステーション)からとらえた画像などを紹介しています。

Image Credit: contains modified Copernicus Sentinel data (2020), processed by ESA, CC BY-SA 3.0 IGO

https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/Satellites_track_unusual_Saharan_dust_plume