火星ヘリ、5回目飛行時の高度10m「空撮」画像公開。来週には6回目の飛行を予定

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が、2021年5月7日に行われた5回目の飛行の際に高度10mから撮影したカラー画像です。5回目の飛行では初の片道飛行が行われ、それまで離着陸を行なっていた「ライト兄弟飛行場(Wright Brothers Field)」から129m南にある別の場所に着陸しました。

NASAによれば、来週にはインジェニュイティの6回目の飛行を行う計画とのことです。6回目の飛行からは、ヘリコプターの運用実証フェーズに入り、複数地点を上空から偵察するなどが行われます。なお火星ローバー「パーサヴィアランス」は、科学運用に向けての準備を進めているため、飛行中のヘリコプターの撮影は行われません。

6回目の飛行計画は次のようになっています。

インジェニュイティはまず10mまで上昇し、その後、150m南西に向かいます。そこから南に15〜20m移動しつつ、カラー画像の取得を開始します。また砂紋や明るい岩の露頭をステレオ撮影するなど、将来のミッションに役立つような運用方法の実証を行います。その後、北東へ向けて50m飛行し、新たな場所に着陸します。最高速度は秒速4m、滞空時間は約140秒を予定しています。

5回目の飛行は離陸した場所とは別の場所に着陸しましたが、そのときの着陸場所は4回目の飛行時に上空から確認済みの場所でした。6回目の飛行では初めて、ヘリコプターによる事前確認をしていない場所に着陸を試みます。ただし周回軌道から火星観測を行っているNASAの火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターのデータから、新たな着陸地点は比較的平坦で障害物がほとんどないことが分かっているとのことです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)Mars Helicopter Tech Demo