火星探査車パーサヴィアランス、生命誕生に必須の3大要素に関連した岩石を発見

過去の火星に生命が存在した可能性に関して、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが非常に興味深い岩石を撮影しました。生命の誕生や存在には、水と有機物、そしてエネルギーが必須の3大要素だと考えられています。それら3つの存在を示唆する岩石が火星で見つかったのです。

この画像に映っているのは、探査車チームが「チェヤヴァ滝(Cheyava Falls)」と名付けた岩石です。その岩石は、火星のネレトヴァ渓谷(Neretva Vallis)の北端にあります。ネレトヴァ渓谷は幅400mほどの渓谷で、パーサヴィアランスが着陸したジェゼロ・クレーターにかつて流れ込んだ水によって形成されたと考えられています。

この岩石からは、かつての水の存在を示すもの、有機物、そして生命がエネルギー源として利用できる化学反応の痕跡という3つが発見されました。火星でそれら3つが同時に見られたのは今回が初めてです。

岩石の大きさは1×0.6m。画像の両端近くにみられる白っぽい部分は硫酸カルシウムの鉱脈で、これはかつて水が流れたことを示しています。また中央の赤みを帯びた部分からは、パーサヴィアランスのSHERLOC機器により有機化合物が検出されました。

そして赤っぽい領域にあるヒョウの斑点模様のような部分を、PIXL機器で調べたところ、黒い部分に鉄とリン酸が含まれていることが判明しました。このような組織を生み出すようなタイプの化学反応は、微生物のエネルギー源になる可能性があるとのことです。

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完全に理解するにはサンプルの持ち帰りが必要

パーサヴィアランスの科学チームが検討中のシナリオの一つとしては、チェヤヴァ滝が当初、有機化合物が混ざった泥として堆積し、のちに岩になったというものです。その後、ふたたび水が岩の亀裂に浸透して白い硫酸カルシウムの鉱脈や斑点模様を形成した可能性があるとのこと。

パーサヴィアランスはこの岩のサンプルを採取しました。パーサヴィアランスのプロジェクト科学者であるカリフォルニア工科大学のKen Farley氏は「科学的に、パーサヴィアランスが提供できるものは、もうありません。ここで何が起こったのかを完全に理解するには、チェヤヴァ滝のサンプルを地球に持ち帰って研究する必要がある」と語っています。

(参考)火星ローバー「パーサヴィアランス」搭載の科学機器

こちらはパーサヴィアランスの「自撮り」画像です。2024年7月23日(1218火星日)に撮影。探査車の左側にチェヤヴァ滝があります。サンプルを掘削した穴も見えています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS

(参照)JPL