探査車が自ら選び撮影した火星の岩石 | アストロピクス

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探査車が自ら選び撮影した火星の岩石

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが撮影した、火星の岩のクローズアップです。画像は2022年5月18日(442火星日)、パーサヴィアランスの「スーパーカム」のリモート顕微撮像装置(Remote Microscopic Imager:RMI)で撮影されました。

実はこの岩の撮影は、地球にいるミッション・チームからの指令によるものではなく、パーサヴィアランスが自らターゲットを選んで行われたものです。これは「AEGIS(Autonomous Exploration for Gathering Increased Science)」というソフトウェアによって実現しています。AEGISは以前、NASAの探査車向けに開発されたもので、パーサヴィアランスではスーパーカム向けに調整されています。

AEGISではNavcam(ナビゲーションカメラ)が撮影した画像を解析して岩石を見つけ、サイズや明るさ、その他の特徴をもとに分析を行い優先順位を決めます。その後、Navcamの画像から選ばれた優先順位の高い1〜2個の岩石の化学組成を決めるためスーパーカムがレーザーを照射するシークエンスを実行します。一連の動作は地球と通信することなく自律的に行われます。

パーサヴィアランスでのAEGISの試験は3月にスタートしましたが、RMI画像の撮影のみでレーザー照射は行われていませんでした。その後、パラメータが調整されレーザー照射も行われました。冒頭の画像に写っている赤い十字線は、レーザーが照射された場所を示しています。

こちらの画像はNavcamで撮影されたもので、AEGISのターゲットとなった2つの岩が映っています。印のついている右側の岩が「AEGIS_0442B」と名付けられた冒頭の画像に映る岩です(左は「AEGIS_0442A」)。AEGIS_0442Bはパーサヴィアランスから約5メートルの距離にあります。なお岩石の名称の「442」は火星日を、「B」は2番目のターゲットであることを示しています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/LANL/CNES/IRAP

(参照)Mars 2020 Mission Perseverance RoverMars Exploration Program