“第2の地球”候補の公転軌道の傾きが初めて明らかに!

地球から約40光年の距離にある赤色矮星TRAPPIST-1(トラピスト1)には、7つの地球型惑星が発見されており、そのうち3つの惑星(TRAPPIST-1e、1f、1g)は表面に水が存在できるハビタブルゾーンにあることが知られています。

質量や大気、軌道など、惑星がどのような性質を持っているかを調べることは、生命存在の可能性を探る上でも重要です。公転軌道面の傾きについてはこれまで、太陽系でいえば木星や海王星のようなサイズの大きな惑星では報告されたことがありましたが、サイズの小さな地球型惑星では報告されたことはありませんでした。

そのTRAPPIST-1に「すばる望遠鏡」が向けられ、3つの惑星(TRAPPIST-1b、1e、1f)の公転軌道面の傾きが調査されました。3つのうちの2つ(1e、1f)は、ハビタブルゾーンにある惑星です。

すばる望遠鏡に設置された太陽系外惑星探査のための観測装置「IRD(InfraRed Doppler、赤外線ドップラー装置)」を使って3惑星のトランジット(惑星が主星の手前を通過する現象)を観測し、スペクトルの変化を精密に測定しました。その結果、冒頭の想像図のように、主星であるTRAPPIST-1の自転軸に対して、観測した3つの惑星の公転軌道面が、ほぼ垂直であることが分かりました。地球型惑星の公転軌道の傾きが、初めて明らかになったのです。

TRAPPIST-1は「M型矮星」というタイプの恒星です。M型矮星は半径が小さく、表面温度も太陽の半分ほどと低温です。天の川銀河の星の多くは、このような低温・低質量の恒星です。今回の観測は、低温・低質量の恒星のまわりにある惑星系の起源や、そのような惑星での生命の可能性を議論する上でも重要な成果です。

Image Credit: 国立天文台

https://subarutelescope.org/jp/results/2020/05/13/2859.html

https://www.nao.ac.jp/news/science/2020/20200514-abc.html