4つの近隣銀河─大小マゼラン、アンドロメダ、M33─の塵とガスをとらえた最新画像

天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)である大マゼラン銀河と小マゼラン銀河、また天の川銀河とともに局所銀河群を構成するアンドロメダ銀河(M31)、さんかく座銀河(M33)。これら4つの銀河をとらえた最新画像が公開されました。なお最新とはいっても最近撮影されたものではなく、すでに引退した宇宙望遠鏡や観測衛星などのデータともとに新たに作られた画像です。

遠赤外線で塵、電波で水素ガスをとらえた

Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/CSIRO/C. Clark (STScI)
Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/CSIRO/C. Clark (STScI)

この画像は、地球から約17万光年の距離にある大マゼラン銀河をとらえたものです。大マゼラン銀河には約300億の星があります。ただし画像に映っているのは星ではなく、星々の間の空間に漂う塵やガスです。塵は遠赤外線で、ガスは電波でとらえられました。

画像は2009〜13年に運用されたESA(ヨーロッパ宇宙機関)のハーシェル赤外線天文衛星のデータをベースに、ESAのプランク衛星、NASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線天文衛星IRASやCOBE衛星のデータ、また地上の複数の電波望遠鏡のデータを組み合わせて作られました。なおプランクやCOBEは主に宇宙背景放射を観測した衛星です。

ハーシェルは遠赤外線で観測を行った宇宙望遠鏡で、銀河内にある塵の雲を高解像度で撮影できました。ただガスや塵がまばらになる銀河の外側の領域では、赤外線を検出できないことがありました。この画像では、それを補うために他の3つの衛星のデータが使われています。

画像の中で、赤は電波望遠鏡により得られたもので水素ガスを示しています。緑は冷たい塵、青は温かい塵を示しています。

大マゼラン銀河の画像では、左下に赤い部分が尾のように伸びているのが見えます。これは約1億年前に小マゼラン銀河と衝突したときに形成された可能性があります。

塵やガスがない泡状の部分は、生まれたばかりの星からの強烈な星風が塵などを吹き飛ばすことで最近できた領域です。「泡」の端に見られる緑色の部分は、星風ではき集められた塵の存在を示しています。青は星が形成されている場所、あるいは別のプロセスにより塵が加熱されている場所です。

Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/CSIRO/NANTEN2/C. Clark (STScI)
Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/CSIRO/NANTEN2/C. Clark (STScI)

こちらは小マゼラン銀河の画像です。小マゼラン銀河は地球から約21万光年の距離にあり、約30億の星が含まれています。大マゼラン銀河と同じく天の川銀河の伴銀河です。

Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/GBT/WSRT/IRAM/C. Clark (STScI)
Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/GBT/WSRT/IRAM/C. Clark (STScI)

こちらはアンドロメダ銀河(M31)。地球から約250万光年の距離にあります。銀河円盤の端にみられる水素ガス(赤)の一部は銀河間空間から引き込まれ、また一部は、かつてアンドロメダ銀河と合体した銀河から引き裂かれたものです。

Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/GBT/VLA/IRAM/C. Clark (STScI)
Image Credit: ESA/NASA/JPL-Caltech/GBT/VLA/IRAM/C. Clark (STScI)

こちらは、さんかく座銀河(M33)です。さんかく座銀河は地球から約300万光年の距離にあります。アンドロメダ銀河と同様、銀河円盤の端にみられる水素ガス(赤)の一部は銀河間空間や合体した銀河に由来します。

高密度の塵の雲では、重元素の多くが塵粒子に閉じ込められます。一方、低密度の領域では若い星からの強烈な放射や超新星爆発の衝撃などにより塵粒子が壊れて重元素の一部がガスに戻ります。ハーシェルの画像は、塵とガスの比率が単一の銀河内で最大20倍も変動する可能性があることを示しています。これは従来の推定値をはるかに上回っています。

(参照)JPL