100億光年先の重力レンズ銀河で、2つ目の超新星「アンコール」を発見

Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Justin Pierel (STScI), Drew Newman (CIS)
Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Justin Pierel (STScI), Drew Newman (CIS)

この画像はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がNIRCam(近赤外線カメラ)でとらえたもので、左の画像には巨大な銀河団「MACS J0138.0-2155」が映っています。その銀河団の重力レンズ効果によって、100億光年の彼方にある銀河「MRG-M0138」の像が分裂し、また歪んで見えてます。右の画像はMRG-M0138の像の1つを拡大表示したものです。

MRG-M0138では、ハッブル宇宙望遠鏡が2016年に撮影した画像から、2019年に超新星が発見されました。それから7年後、2023年にウェッブ望遠鏡が撮影した画像に、もう1つの超新星が映っていることが判明しました。冒頭の右の画像で白い円内に超新星の光が見えています。

重力レンズを経由する超新星の光は、経路によって地球に届く時期が異なります。数日や数週間、あるいは数年の間をおいて光が届くのです。超新星の光が届く時間差を測定することで、ハッブル定数として知られる宇宙の膨張率の歴史を測定することができます。ただそのような超新星は非常に珍しく検出例は少数です。

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どちらの超新星も2035年にもう1つの像が到達か

2016年に観測されたMRG-M0138の超新星は「レクイエム」と呼ばれています。レクイエムは、天体までの距離の測定に利用されるIa型超新星だったとみられています。ただ超新星の光が消えた後の2019年になって発見されたため、ハッブル定数を測定するのに十分なデータを収集することができませんでした。

一方、MRG-M0138で2023年に発見された超新星は「アンコール」と呼ばれています。現在はウェッブ望遠鏡の所長裁量時間観測(director’s discretionary)により、超新星アンコールを積極的に追跡しているとのことです。アンコールはIa型超新星であることが確認されています。レクイエムとアンコールは、Ia型超新星のペアとしてはこれまでで最も遠いものとなっています。

Image Credit: Hubble image: NASA, ESA, STScI, Steve A. Rodney (University of South Carolina) and Gabriel Brammer (Cosmic Dawn Center/Niels Bohr Institute/University of Copenhagen).; JWST image: NASA, ESA, CSA, STScI, Justin Pierel (STScI) and Andrew Newman (Carnegie Institution for Science).
Image Credit: Hubble image: NASA, ESA, STScI, Steve A. Rodney (University of South Carolina) and Gabriel Brammer (Cosmic Dawn Center/Niels Bohr Institute/University of Copenhagen).; JWST image: NASA, ESA, CSA, STScI, Justin Pierel (STScI) and Andrew Newman (Carnegie Institution for Science).

この画像は、左が2016年にハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものです。白い円内に超新星レクイエムの光が3つ映っています。右はウェッブ望遠鏡が2023年に撮影した同じ領域。白い円内に映っているのが超新星アンコールの光です。

レクイエムもアンコールも、2035年ごろに、もう1つ別の像が地球に届くと予想されています。それによりハッブル定数の新たな測定値が得られると期待されています。

(参照)Webb Space Telescope