2024年の月の満ち欠けや距離、秤動など1年分を可視化して再現! | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

2024年の月の満ち欠けや距離、秤動など1年分を可視化して再現!

この映像は、2024年1月1日から12月31日までの月の満ち欠けを示したものです。1時間ごとの月の様子を示す画像をつなげて動画にしたもので、NASA's Scientific Visualization Studioから公開されました。

この画像は映像の1場面で、2024年で最初の満月を迎える1月26日の午前3時ごろ(日本時)の月の様子です。

映像に映る月は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターのレーザー高度計(LOLA)とカメラ(LROC)のデータを元に作成されました。高度データも加味されているので、表面の凹凸に伴う陰影も再現されています。

月は常にほぼ同じ面を地球に向けています。ただしいつでも完全に同じ面を向けているわけではなく、微妙に異なる角度の面を地球に向けています。そのようなふらつきのことを「秤動」といいます。メインビジュアルの月は、その秤動も表現されています。

月面にはアポロ計画の時の着陸地や月の海の名前なども書かれています。昼夜境界付近ではクレーター名も表示されています。

スポンサーリンク

月の公転

冒頭の映像の左上部分は、北側からみた月の公転を表したものです。黄色い矢印が太陽の方向です。動画のこの部分を見ると、月の満ち欠けが太陽と地球、月の位置関係の変化によるものだということが分かります。月が地球の夜側の中央に来たときに満月になります。

青緑色のリングは、地球から月までの距離の幅を示しています。また月の軌道は黄道面に対して約5度傾いており、リングの明るい色のところは黄道面より上にある部分です。「ASCENDING NODE」は昇交点、「DESCENDING NODE」は降交点です。

なお、月の公転軌道が傾いている関係で、月食は月が昇交点あるいは降交点付近にあるときの満月のときにしか起こりません。(参考記事)満月のたびに月食が起こらないのはなぜ?

冒頭の映像の左下の図で、黄色い円錐は太陽が天頂にくる地点(太陽直下点)を示しています。一方、青い●は地球が天頂、つまり真上にくる地点を示しています。この青い●はまた、地球から見たときに月の円盤のちょうど中央に当たります。水色の円は赤道と子午線です。赤道や子午線に対して、青い印が上下左右に動きます。これは月の秤動を示しています。

冒頭の映像で月の背景にある直線は、地球と月の距離を示したものです。左に地球が固定されており、右側の月が時間と共に左右に動きます(地球に近づいたり遠ざかったりします)。地球と月の大きさや距離は縮尺があっています。地球からの距離の変化に伴い、メインビジュアルの月の見かけの直径も時間とともに変わっていきます。

NASA's Scientific Visualization Studioのウェブページでは、日付を入力するとその日の月の満ち欠けの様子を見ることができます。冒頭の映像の各フレームを見ることもできます。

2024年の満月や新月のカレンダーや、2024年に現れる満月の見た目の違いについては「2024年(令和6年)の満月と新月はいつ? 最も大きく見える満月は?」をご覧ください。また「2024年の月の満ち欠けカレンダー」では、2024年の1日ごとの月の満ち欠けを示したカレンダー画像を公開しています。

Video credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Data visualization by: Ernie Wright (USRA)
Producer & Editor: David Ladd (AIMM)
Music Provided by Universal Production Music: “Go Win It” – Alexander Hitchens

(参照)NASA's Scientific Visualization Studio