この画像はスピッツァー宇宙望遠鏡(左)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像を比較したものです。どちらも大マゼラン銀河の同じ領域を撮影したもので、両者を比べると、ウェッブ望遠鏡の画像が非常に鮮明なことがよくわかります。
2003年に打ち上げられ、2020年にミッションを終了したスピッツァー望遠鏡は、近赤外、中間赤外線での高解像度画像の撮影を実現した初の宇宙望遠鏡です。冒頭の画像は、そのスピッツァー望遠鏡の赤外線アレイカメラ(8.0μm)で撮影されたものです。
それに対してウェッブ望遠鏡の画像はMIRI(中間赤外線装置、7.7μm)で撮影されたもので、4月末に公開された試験画像の一部です。ウェッブ望遠鏡の画像では、星間ガスがかつてない鮮明さで映し出されており、ここでは「PAHs(多環芳香族炭化水素)」と呼ばれる炭素と水素からなる分子からの赤外線がとらえられています。MIRIを使った観測では、星の誕生や原始惑星系に関する新たな知見がもたらされると期待されています。
ウェッブ望遠鏡は現在、科学観測装置の試運転が行われています。本格的な科学観測は、2022年夏にスタートする予定です。