この画像は木星の衛星エウロパを、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえたものです。ウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影されました。
画像で白っぽく見えているのは、中央から右側にかけてが「タラ地域(Tara Regio)」、左側が「ポーイス地域(Powys Regio)」です。これらの地域は「カオス地形」として知られる、再表面化した地質学的に比較的若い地域です。
エウロパ表面に二酸化炭素を発見
ウェッブ望遠鏡のNIRSpec(近赤外線分光器)による観測から、エウロパ表面で二酸化炭素が発見されました。画像は左が冒頭の画像と同じもので、右の3枚はNIRSpecで得られた組成マップを示しています。NIRSpecの画像では、白いところが二酸化炭素を示しています。タラ地域に白い領域が広がっているのがわかります。
タラ地域のようなカオス地形では表面の氷が破壊されています。比較的最近の時期に、地下海と氷の表面との間で物質の交換があった可能性があります。分析の結果、二酸化炭素に含まれる炭素は、隕石などの外的要因ではなく、地下海で発生したものである可能性が高いとみられています。今回の発見は、生命の必須元素である炭素が地下海に存在する可能性を示しています。
Image Credit: NASA, ESA, CSA, G. Villanueva (NASA/GSFC), S. Trumbo (Cornell Univ.), A. Pagan (STScI)